製材とは何か
製材とは、原木を挽いて板などにすることです。しかし、原木を製材機に載せるまでにも、板になってからも、さまざまなドラマがあります。そのことを、皆様に知っていただきたいと思います。
今回は、岩手県産の広葉樹原木を例にお話しします。
第1ステージ 山から服部商店へ
服部商店が買い付けてくる広葉樹原木は、針葉樹と広葉樹が共に育つ「混交林」などの森林で育っています。
広葉樹が生えている場所は、さまざまです。平坦な場所もあれば、急な斜面など、皆様の想像とはまったく違う環境で育っている木も少なくありません。
その立木を伐採し、山から運び出すためには、設備も人手も必要です。また、森林を維持していくためには、良質な原木に、それに見合った価格がつかなければ、山の仕事を続けていくことができません。
今回、岩手県の造材業者のヤード(原木の集積場所)を訪ねました。そこで驚いたことがあります。その業者の話では、原木市場に出荷できる原木は、多くても全体の5%以下だということです。
市場に出荷されず、私たちが日頃使っている紙製品の原料となる、パルプ用に回る木が非常に多いことも、自分の目で確かめてきました。
その中で、次の市に出品してほしいとお願いしたイタヤの原木もありました。

貴重なイタヤ原木
こうして選別された原木が、市場に並びます。日本各地からバイヤーが集まり、一本一本を検品し、競りや入札によって行き先が決まります。
買い付けた原木は、運送会社によって服部商店まで運ばれてきます。しかし、ここにも大きな問題があります。運転手の高齢化が進み、原木を運んでくれるトラックも相当減っています。当然、運賃もかなり上がっています。
ここまでが、第1ステージです。

伐採された森林の木

伐採数量から選りすぐりの5%以下の貴重な原木
第2ステージ 一本の原木と向き合う
いよいよ製材です。しかし、その前に大切な作業があります。それが「皮剥き」です。
案外、この工程を省いて製材する方が多いことに気がつきます。
原木の皮の下には、その木が長い年月をかけて育ってきた歴史が刻まれています。皮を剥かなければ分からない情報が、たくさん隠されているのです。

皮を剥くことで育ってきた歴史を探る
私は、この情報なしに製材することはできないと考えています。
それくらい、原木はデリケートなものです。
同じ原木なら、誰が製材しても同じ板になると思われるかもしれません。しかし、皮を剥いて木の状態を確かめることで、どこに鋸を通すのがよいのか、ある程度判断することができます。
この判断の積み重ねが、良い製品を生み出す技術につながります。
さらに、木の内部に残っている力、いわゆる「応力」を可能な限り逃がすことも大切です。そうすることで、反りや割れの少ない、使いやすい板ができる可能性が高まります。

応力を逃がすために原木を二つに割る作業
こうして、ようやく原木が板になります。しかし、まだ終わりではありません。
乾燥と検品を経て、皆様のもとへ
製材した板には割れ止めを行い、一枚一枚の寸法を測って記入する「寸検」を行います。
その後、厚みと長さによって仕分けし、板と板の間に桟木を入れて積み重ねる「桟積み」を行います。

桟積み後1年の眠りに入ります
桟積みした板には重しを載せ、乾燥環境に注意しながら保管します。そして、最低一年間の眠りに入ります。
一年以上の天然乾燥を経た後、低温乾燥機に入れ、乾燥を仕上げます。最後にもう一度検品を行い、ようやく皆様にお届けできる製品になります。
以上が、服部商店で原木が製品になるまでの流れです。
製材の現場を知っていただきたい
できる限りわかりやすく書きましたが、ご理解いただけたでしょうか。わかりにくいところがありましたら、ぜひご連絡ください。
昔のように、原木を製材する勉強会を開催することは、68歳という年齢を考えると難しくなりました。しかし、日頃の製材作業を皆様に見ていただける機会は、できる限りつくっていきたいと考えています。
もちろん、ご希望があれば、いつでもどなたでもお受けできるというわけではありません。それでも、若い方や無垢材に興味を持っておられる方には、できる限り優先して、製材の現場を見ていただきたいと思います。
製材とは、単に原木を板にする作業だけではありません。
そのことを、皆様に少しでも知っていただければ幸いです。
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